Chikanism

現実と非現実のあいだ

生憎空は、雨

雨というか雪である。

 

「きみはラッキーだ」そう言ったひとがいた。

「雪はレアだよ」と。

バンクーバーは雪があまりふらない。前の冬は、1回しか雪が降らなかったらしい。なのに今年はなんだ。3月なのに、雪である。

アメリカ旅行へ行く前、天気が良かった。街を歩けば暖かく、膨らんだ木々の蕾と、咲きそうな花の匂いがしていた。帰ってきたらもしかしたら花が咲いているかも、もう春かも、と思っていた。

なのに、だ。

外は雪である。予定と違う。

 

バンクーバーはカナダで唯一、桜が咲く街だ(らしい)。本当は、桜を見てから帰りたいと思っていた。春が近い、と思っていたはずなのに、どちらかといえば冬に戻ってしまったような気候だ。

 

そういえば、「もし俺が有名になって取材を受けたら、バンクーバーは第二の故郷やって話すわ」なんて言っていたひとがいた。わたしより過ごした時間は短かったくせに。

行きたかったところもまだ少しある。慣れ親しんだ街、ようやく覚えてきた通りの名前、美味しかったレストラン。もう二度と来ないかもしれない。少なくとも、こんなに長く住むことはもうないだろうし、また来たとしても数年後にはなるんだろう。

 

ありがとう、さよなら、またね。

これは約束じゃなくて、願掛けだ。またすぐ、逢いましょう。

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